( ^ω^) ブーンが赤い水を飲んじゃったかもSIRENね 恐怖体験談
【登場人物紹介】
(^ω^)ブーン・・・(高ニ/超人進化型)
勉強も運動もいまいちだが、明るく気の優しい少年。なぜか逃げ足だけは速い。
誰とでも仲良しだが、ショボンが一番の友達。一応、本編の主人公。
(´・ω・)ショボン・・・(高ニ/頭脳高回転型)
頭が良く、いつでも冷静に物事を判断しようとするグループのブレイン。控えめで、一歩下がった感じ。
たまに顔AAがブーンと見分けにくくなるのが最近の悩み。
('A`)ドクオ・・・(高三/近距離パワー型)
ぶっきらぼうでひねくれ者だが、行動力がありグループのリーダー的存在。生まれつき勘が鋭い。
体が大きく力自慢で、素手でイノシシを倒した事があるとかないとか。ツンとは家が隣り同士。
ξ゚゚)ξツン・・・(高三/母性強化型)
気が強く、かなり口うるさい女の子。ちょっとガサツなところもあるが、実は以外と優しかったりする。
通信空手五段の猛者で、素手でクマーを倒した事があるとかないとか。ドクオとは家が隣り同士。
(*゚ー゚)しぃ・・・(高一/中距離操作型)
一年程前に本土から転校してきた子。中学ではクラスになじめず、しばらくしてブーン達と仲良しに。
先天性色素欠乏症(アルビノ)で、瞳は赤く、髪や肌は白い。
引っ込み思案で臆病ないじめてちゃんだが、ブーン達にいじめられた事はない。
7:【本文】◆SiRen.KDYA[最後の最後に……]:2006/05/09(火)00:02:13.07ID:rq8EuvBc0
≪サイレン〜名の示すもの〜≫
【プロローグ】
昭和77年○月×日
関東沖に浮かぶ小さな島、双頭蛇(そうずだ)島。
その島唯一の村、羽生蛇(はぶだ)村でその事件は起こった。
いや、事件というよりも怪異現象といったほうが正しいだろうか。
その村は北東に雄蛇ヶ岳(おじゃがだけ)、北西に雌蛇ヶ岳(めじゃがだけ)、
そして南を海に囲まれた、人口500人足らずの小さな村である。
これまでは、およそ事件とは無縁な村だったらしい。
(中略)
この辺りの島では未だ土着信仰が根強く、この村では親子神が祀られていたという。
白蛇の姿で顕現するという、朧神(おぼろがみ)と虚朧子神(うろぼろすがみ)がそれである。
事件について話す生存者の口からは、なぜかこの二神の名が出てきたらしい。
また、その話しに頻繁に出てきたという、『ウロス』という言葉の示す意味とは?
平和な村で、一体何が起こったのだろうか?
この怪異を災害として片付けてはならない。
今後も継続して調査する必要があるだろう。
〜ある民俗学者の手記より抜粋〜
9:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:04:56.20ID:h2xKt+bY0
【一日目/現世/11時16分28秒/雄蛇ヶ岳山麓】
⊂(^ω^)⊃「あいわなびぃあびっぷすた〜♪キミがずっと〜むちゅ〜なそれ〜なん〜てホラ〜ゲ〜♪」
ブーンはお気に入りの歌を口ずさみながら、緩やかな坂道をスキップで登っていた。
今日はクラスの友達四人と一緒に、雄蛇ヶ岳(おじゃがだけ)のふもとに咲いている、
陽下美人という花を見にピクニックに来ているのだ。
クラスメイトとはいえ彼らの通う高校の生徒数は少なく、
1〜3年生までは一緒のクラスなので、年はバラバラなのだが。
降り返るとドクオとツン、それに少し遅れてショボンとしぃが見える。
見下ろすその先の丘には、この島の守り神である虚朧子(うろぼろす)を祀るお社(やしろ)があり、
更に先には自分達の住む村、羽生蛇(はぶだ)村が望めた。
ξ゚゚)ξ「ちょ、ブーン!浮かれ過ぎて転ばないようにしなさいよ!」
('A`)「まだつかねぇのかよ、めんどくせぇな・・・」
ξ゚゚)ξ「あんたは体力だけが取り柄なんだから、ブツブツ文句言わないの!」
('A`)「へいへい・・・」
ツンとドクオから少し遅れて歩いていたショボンが、しぃに声をかける。
(´・ω・)「しぃちゃん、大丈夫?疲れてない?」
(*゚ー゚)「うん、大丈夫。わたしが誘ったんだもの、これくらい平気だよ・・・」
ブーンやショボン、ドクオ、ツンはこの島で生まれ育ったが、しぃは一年程前に本土から転校してきた。
おとなしい性格のしぃはなかなか村に馴染めず、ブーン達のグループに入った後も遠慮がちだった。
そのしぃが今回のピクニック話しを持ちかけたので、皆びっくりし喜んだものだ。
ひねくれ者のドクオですら、まんざらでもない様子だった。
10:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:06:06.21ID:h2xKt+bY0
⊂(^ω^)⊃「今日は天気もいいし、最高のピクニック日和だお」
ブーンは両手を広げ、一気に坂を駆け上がる。
登り切ったその先に待っていたのは、一面の赤い絨毯だった。
(^ω^)「すごいお、陽下美人が満開だお!」
陽下美人とはこの島──双頭蛇(そうずだ)島に群生する、赤い花を咲かせる植物である。
とても綺麗なこの花は、一度開花すると2〜3日しか咲くことが出来ずにすぐに散ってしまう。
しぃはこの花を見たいと言って、皆をピクニックに誘ったのである。
⊂(^ω^)⊃「ショボンもしぃちゃんも早く来るお!」
ブーンは今来た道を駆け下りると、最後尾にいたショボンとしぃの腕を掴んでグイグイ引っ張る。
(´・ω・)「ブーン、あんまりひっぱらないで」
(*゚ー゚)「や、やだ、ブーン君ったら・・・ふふふ」
ξ゚゚)ξ「ちょ、ブーン。しぃちゃんに無理させないの!」
ツンがブーンを注意したのも無理はない。しぃは元々、疲れやすい体質なのだ。
その事と関係があるかはわからないが、しぃは産まれながらの色素欠乏症(アルビノ)だった。
彼女の瞳は血のように赤く、髪も肌も透き通るように白い。
その事が原因で、この島に引越してきた後も中学のクラスではよくいじめられたらしい。
いじめの現場を押さえ、それを注意したツンの誘いでブーン達と仲良くなったのだ。
肌が白いために紫外線に弱いのか、夏でも常に長袖の服を着ていた。
今日も長袖のワンピースを着て、長いツバの帽子をかぶっている。
11:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:07:13.63ID:h2xKt+bY0
ブーン達が坂を登り切る頃には、ドクオとツンも一面の陽下美人を眺めていた。
('∀`)「おお、こりゃすげぇな・・・長い時間かけて歩いてきた甲斐があったってもんだ」
ξ゚ヮ゚)ξ「きれーい・・・」
極めて短命なこの花を、ここまでの規模で見られる機会は島民といえどもそうそうない。
追いついたしぃとショボンも、赤い絨毯に見惚れている。
(*゚ー゚)「すてき・・・」
(´・ω・)「うん、こんな良い景色はめったに見られないね」
(*゚ー゚)「うふふ、あはは・・・」
しぃが両手を広げて、楽しげにその場でクルクルと回る。
銀色の長い髪と、丈の長い白いワンピースの裾がヒラヒラと舞って陽光に映えた。
そんなしぃの姿を見て、ツンが目を細めて微笑む。
その表情は、まるで愛娘を見守る母親のそれのようだ。
少し離れた場所ではブーンがはしゃいでいる。
(^ω^)「すごいお、みんなに自慢できるお!・・・・・・ところでお腹空いたお!」
(*゚ー゚)「じゃあ、座れる所を探してお昼にしましょ?」
(^ω^)「やたー、お昼だお。しぃちゃんの手作り弁当だお!」
一同はシートが広げられる眺めの良い場所を見つけると、少し早めの昼食を採ることにした。
弁当はしぃが作ったサンドイッチである。
12:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:08:45.10ID:h2xKt+bY0
バスケットをシートの上に広げるしぃの左手の指先に、絆創膏が貼ってある事にツンが気付く。
ξ;゚゚)ξ「しぃちゃん。その指、料理作ってて?」
(*゚ー゚)「・・・う、うん。ちょっと切っちゃいました。わたし不器用だから」
ξ;゚゚)ξ「だから私も手伝うって言ったのに・・・」
(*゚ー゚)「ううん、いいんです・・・ごめんなさい、ツンさん」
ツンは、さっきから元気のないしぃの事が気になっていた。
もともと物静かな性格なのだが、今日のしぃはいつもと違う感じがする。
長い時間歩いて疲れたのだろうか?それとも何か心配事でもあるのだろうか?
悩み事があるのなら聞いてあげたいが、さすがに今はそんな雰囲気ではない。
ツンのそんな心中のモヤモヤを、ブーンが彼方へふっとばす。
(^ω^)「ぱくぱく、おいしいお。しぃちゃんの手作りサンドイッチおいしいお」
(´・ω・)「ブーン、ボクのサンドイッチ取らないで・・・」
ξ゚゚)ξ「ちょ、ブーン。食べながらしゃべんないの!ドクオはもっとおいしそうな顔で食べる!」
('A`)「ほっとけ。オレはこういう顔しかできねぇんだよ」
(^ω^)「もぐもぐ。おいしいお、おいしいお」
ξ#゚゚)ξ「だから食べながらしゃべるなっつーの、あんたは!」
('A`)「・・・やれやれだぜ」
四つ目のサンドイッチを手に取ったとき、ドクオは地面がわずかに揺れるのを感じた。
('A`)。oO(また地震か・・・最近多いな)
14:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:10:25.20ID:h2xKt+bY0
それは感の良いドクオにしか気付かない程度の微震だったが、最近やけに地震が多いのも確かだ。
ただ、双頭蛇島は火山帯の近くにあるため元々地震が多く、
また、近頃は日本各地で地震が頻発しているので、村人達は余り気にはしていなかったのだが。
楽しい雰囲気に水を差すほど無粋でもないので、ドクオは黙って口を動かす。
サンドイッチを皆で平らげた後は、やはりしぃが作ってきた紅茶を皆で飲む。
(^ω^)「ごくごく、紅茶おいしいお。おかわりちょうだいお!」
(*゚ー゚)「はい、どうぞ・・・でもあんまり飲みすぎると、お腹壊しちゃうよ?」
(^ω^)「うん、わかったお。おかわり!」
(´・ω・)「ブーン、ボクの紅茶飲まないで・・・」
(*゚ー゚)「・・・・・・」
ブーンはしぃの忠告もどこ吹く風で、紅茶を何杯もおかわりしている。
そんなブーンを横目で見ながら紅茶を口に含んだドクオは、その味に違和感を覚えた。
一度カップを口から離し、その中の血のように赤い液体をまじまじと眺める。
('A`)。oO(この紅茶、ちょっと鉄の味がするな。鉄瓶で作ったのか?)
カップを見つめながらそんな事を考えていると、しぃがその赤い瞳でドクオの顔を覗き込む。
肩にかかった銀色の髪がサラサラと流れ落ちる。
(*゚ー゚)「・・・ドクオさん、どうかしましたか?」
('A`)「んにゃ、なんでもね」
(*゚ー゚)「そう・・・ですか・・・」
なんとなく飲む事に抵抗があったが、残すのもしぃに悪いと思い、一気に飲み干す。
ブーンはそんなドクオの気も知らず、ゴクゴクと紅茶を飲んでいる。
15:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:11:25.36ID:h2xKt+bY0
(*^ω^)。oO(うぁ〜、楽しいお、幸せだお。こんな時間がいつまでも続くといいお・・・)
目の前に広がる赤い花々、眼下に遠く望める自分達の村、
そして大好きな友達とを代わる代わるに見ながら、ブーンはそう祈った。
───だが、そのささやかな願いが叶う事はなかった。
16:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:14:34.81ID:h2xKt+bY0
【一日目/異界/12時00分00秒/雄蛇ヶ岳山麓・花の咲き乱れる丘】
ヴオ゙ォ゙ォ゙ォ゙オ゙オ゙ォ゙ォ゙オ゙ォ゙ォ゙オ゙ォ゙オ゙オ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙オ゙オ゙!!!
突然、辺り一面にけたたましいサイレンの音が鳴り響く。
大気が震え、体すら揺さぶるほどの大きな音だ。
慌てて音のするほうを見るブーン達。
村の方角から聞こえてくるようだが、村役場が流すサイレンの音とは全く違うものだ。
それに微妙に村の手前から聞こえてくるような……?
唐突にサイレンは止み、次の瞬間世界は一変する。
辺りは一瞬にして薄闇に支配された。
ドクオの身中を得体の知れない感覚が走る。
それは18年間生きてきた中で感じた事のない、異様な感覚だった。
体中から冷たい汗が、ドッと噴き出す。
('A`;)「まだ昼だってのに、なんだこの暗さは・・・?それに、この感じ・・・」
ξ;゚゚)ξ「!なに、あの空の色!?」
ツンが指差した空はいつの間にか真っ赤に染まっていて、
先程まで頭上で輝いていた太陽はどこにも見当たらない。
だが、その赤い空はおぼろげな光を放っていて、
その為に辺りは完全な闇に包まれずに済んでいるようだ。
17:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:16:35.25ID:h2xKt+bY0
ブーンが辺りを見回しながら叫ぶ。
(;^ω^)「な、なんだお・・・いったいどうなってるんだお!」
(*゚ー゚)「・・・・・・」
(;´・ω・)「みんな見て、海が!?」
ショボンの声に、皆が一斉に海のほうを振り向く。
島を取り囲む海が──空と同じ赤い色に変わっている……?
暗くてよくは見えないが、それは明らかに本来の海の色とは違っていた。
(;´・ω・)「と、とりあえず村に戻ったほうがよくない・・・?」
ξ;゚-゚)ξ「そ、そうね。村に帰れば何かわかるかも・・・皆の事も心配だし」
('A`;)「よし、オレとブーンで先に戻る。ショボンはツンとしぃを連れて後から来い」
(;^ω^)「わ、わかったお。怖いけどドクオ君と一緒に行くお」
(;´・ω・)「うん、わかった」
ξ;゚゚)ξ「あんた達、気を付けなさいよ」
('A`;)「おまえらもな。こいつはマトモじゃねぇ・・・危険を感じたらお社に隠れてるんだぞ!」
そう言うなり駆け出すドクオ。その後を慌てて追うブーン。
残された三人は顔を見合わせると一度うなずき、二人の後を追って走り出す。
18:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:21:28.20ID:h2xKt+bY0
【一日目/異界/12時27分11秒/海蛇海岸】
山を一気に駆け下りて村外れまで来たブーンとドクオは、
息苦しさと疲労も忘れ、呆然とその場に立ちすくむ。
(;^ω^)「みんな、いったいどうしちゃったんだお・・・」
('A`;) 「おいっ、あんたらどうしちまったんだよ。ちょっと待てってば!」
二人が見た光景は、まさしく異様だった。
村人達は皆、何かに取り憑かれたかのような虚ろな表情と足取りで、一様に海岸を目指していた。
話しかけても、体を掴んで揺さぶってもまるで反応のない村人達の後を、
二人は引きずられる形でここまでついてきたのである。
そして夢遊病者のような村人達は海岸に着くと、ためらいもせずに赤い色の海に入っていく。
水平線で赤い空と交わるまで延々と続く、波の無い赤い海の中に……
(;^ω^)「ダメだお、溺れちゃうお!」
('A`;) 「待てよ!この海は普通じゃねぇ、入ったら駄目だ!」
二人は必死に村人にしがみつくが、その歩みは止まらない。
大柄で力も強いドクオと平均的な体格のブーンが、二人掛かりでも引きずられてしまう。
動きは緩慢だが、信じられない力だ。
そうしている間にも、回りの村人達は次々と赤い海に入っていく。そして海の中に消えてしまうのだ。
常識で考えれば溺れてしまうのは間違いない。
そうこうしている内に、ブーンとドクオも村人に引きずられて赤い海に入ってしまう。
赤い水が足に触れた途端、背中に悪寒が走る。
普通の海水とは違う、何かネットリとした感じがする。
そう、まるで血のような───
19:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:23:36.26ID:h2xKt+bY0
首の近くまで赤い海に引きずり込まれて、二人は戦慄する。
赤い水が生物の触手のように蠢き、口に向かって伸びてきたのだ。
思わず村人から手を離し、慌てて海から出るブーンとドクオ。
戒めから解き放たれた村人は、二人の目の前で海の中へと沈んでゆく。
それを為す術もなく、ただ呆然と見送る二人。
('A`;) 「そ、そうだ。オヤジは・・・」
(;^ω^)「・・・あ、ばぁちゃん」
余りの異常事態で忘れていた一番大切な事を思い出し、
二人は急いで海岸を離れると、それぞれの家に向かって走り出す。
途中すれ違う、虚ろな目をした村人達の顔を確認しながら……
20:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:27:12.10ID:h2xKt+bY0
【一日目/異界/12時29分45秒/羽生蛇村外れ・海岸付近】
ショボンとツン、しぃの三人はブーン達からかなり遅れて村外れまで戻ってきた。
極力しぃのペースに併せたのだが、それでも体力のないしぃにとってはかなり辛かったのだろう、
村に着くなりその場にへたり込んでしまう。
ショボンとツンは肩で息をしながらも、目の前の異様な光景に息を飲む。
それはつい先程、ブーンとドクオが見たものと全く一緒だった。
ξ;゚゚)ξ「お父さん!お母さん!」
もうすでにかなりの村人達が赤い海の中に入っていってしまったのだろう、
すでにまばらになった夢遊病状態の村人達の中から偶然、ツンは両親の姿を見つけ声を張り上げる。
ξ;゚゚)ξ「ちょっ、どうしたのよ!二人ともどこへ行く気なの!?」
ツンは両親の手を引っ張るが、そのままズルズルと海岸のほうへ引きずられてしまう。
ショボンも走り寄り、顔見知りの二人に声を掛けながら肩を揺さぶる。
(;´・ω・)「おじさん、おばさん、しっかりして下さい。いったい何があったんですか!?」
ξ;゚゚)ξ「お母さん、ちょっと止まってよ!お父さん、お父さん!!」
ショボンの声は、ツンのヒステリックな悲鳴にかき消されてしまったが、
元より二人に話しを聞いているそぶりなど全くない。
何かに操られているみたいだ、とショボンは思った。
直感的にこの二人を、いや村人達を止める術は無いと悟る。
21:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:29:34.87ID:h2xKt+bY0
ショボンが呆然とツンとその両親を眺めていると、三人は建物の角を曲がって見えなくなってしまう。
自分はどうすべきだろう?
ショボンは自問する。
出来る事ならツンの両親を引き止めたいが、この状態では三人掛かりでも恐らく無理だろう。
なにより自分の両親の事が気になる。父母も皆と同じような状態になってしまっているのだろうか?
今すぐにでも家に飛んで行きたいが、さっきから座り込んだままのしぃをほうってはおけない。
ショボンは駆け出したい衝動をグッとこらえ、しぃの元に戻る。
(´・ω・)「しぃちゃん、大丈夫?」
(*゚ー゚)「うん。だいぶ楽になったよ・・・」
(´・ω・)「じゃあ、しぃちゃんの家に行ってみよう。お父さんの事、心配でしょ?」
(*゚ー゚)「ショボン君、ぼ・・・あたしと一緒に来てくれるの?ありがとう、でも・・・」
(´・ω・)「ボクの事はいいから・・・さ、行こう!」
ショボンはしぃの手を取って立ち上がらせると、その手を引いてしぃの家へと歩き出す。
両親の無事を祈りながら───
22:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:32:05.39ID:h2xKt+bY0
【一日目/異界/12時40分01秒/ブーン自宅】
(;^ω^)「ばぁちゃん!ばぁちゃん、居たら返事するお!」
途中でドクオと別れ、一人自宅へと戻ってきたブーンは玄関を開けるなり声を張り上げる。
海岸から家に戻る間にすれ違った村人は、そう多くはなかった。
恐らくはあのサイレンが鳴ったと同時に、村人達は操られるように海岸を目指したのだろう。
とすると、海岸からそう遠くない場所にある自宅にいたはずの祖母は……
嫌な考えを振り払うかのように、大声で祖母を呼ぶブーン。
しかし、家のどこを捜しても祖母の姿はない。
(;´ω`)「・・・ばぁちゃん、やっぱりもう・・・いや、まだだお!」
もしかしたら家に向かう途中、すれ違いになったのかもしれない。
一縷の望みにかけたブーンは家を出ようとし、赤い海水をたっぷり含んで重くなった服に気が付く。
このままでは思うように動けない。
ブーンは二階にある自室へと走り、部屋に入るやいなや服を脱ぎだす。
だが気持ちばかりが空回りし、体にへばり付いた服はなかなか脱げてくれない。
(;^ω^)「くっ、こんなときに・・・はやく、ばぁちゃん!」
ようやく服を着替え終えたブーンは、再び海岸へと走り出す。
23:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:34:26.91ID:h2xKt+bY0
【一日目/異界/12時53分31秒/海蛇海岸】
('A`;)「おいツン、待て!この海に入ったらダメだ!」
ξ;゚゚)ξ「ちょ、離してよ!お父さんとお母さんがっ・・・!」
ブーンと別れた後、自宅に父がいない事を確認したドクオは、一足先に海岸に戻ってきていた。
ブーンとここで落ち合う約束をしていた訳ではない。
だが、この怪異現象の元凶とも思える赤い水を湛えた海に、もう一度行ってみなければ、と思ったのだ。
そこで偶然にも、先程の自分のように海に引きずり込まれそうになっているツンを発見したのである。
ξ#゚゚)ξ「ちょ、はな、離しなさいよっ、ドクオ!お母さん死んじゃう、お父さん・・・!」
('A`;)「落ち着けって、ツン。この水はおかしいんだよ、色だけじゃねぇ!」
水に入る間際のツンを見つけたドクオは、両手を掴んで海から引き離す。
半狂乱になったツンの力は尋常ではなく、ドクオの力を持ってしても抑えつけるのが精一杯だった。
二人が揉みあっている間にも、ツンの両親は赤い海の中にその身を沈めてゆく。
ドクオは何故か確信していた。この赤い海に頭まで浸かっても死ぬ事はないのだろう、と。
先程の恐ろしい体験がそう思わせたのかもしれない。
生物のように蠢き、口の中に侵入してこようとする不気味な赤い水───
('A`;)「大丈夫だ!死にはしない、恐らく・・・」
だが、死よりも恐ろしい運命が待ち受けているのかもしれない、という思いが脳裏をよぎる。
ξ#゚゚)ξ「なんであんたにそんな事がわか・・・!」
反論しようとしたツンの言葉は、なぜか尻すぼみに消えてしまう。
24:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:39:10.59ID:h2xKt+bY0
急に力の抜けたツンをいぶかしみ、その視線の先を見るドクオ。
次の瞬間、ツンを掴んでいたドクオの両手が力なく落ちる。
ドクオとツンはポカンと口を開けたまま、その奇妙な光景をただじっと見つめていた。
('A`;)「な、なんだ・・・ありゃあ・・・?」
水面が小石大に盛り上がったかと思うと、その大きさを次第に増してゆく。
それは人の頭だった。
そして水面のあちこちに『ソレ』は浮かび上がってくる。
海に消えていったはずの村人達が還ってきたのだ。
入っていったときと変わらぬ、緩慢な動きで。
無表情で歩いてくる『ソレ』の白目は、血で染めたように真っ赤であった。
それ以外は、人となんら変わらない。
だが、つい先程まで確かに人であった『ソレ』は、もはや人ではなかった。
ドクオは『ソレ』を見ただけで、その事を理解した。
自分の中の何かが、あらん限りの早さで警鐘を打ち鳴らす。
('A`;)「こ、こいつぁ・・・・・・ガチでやべぇぞ・・・!」
本能的に危機を悟り、ハッと我に帰るドクオ。
呆気にとられていた隙に『ソレ』───屍人(しびと)は一番近くにいるモノで、もう膝まで見えている。
放心したままのツンの腕を引っ張り、ドクオは走り出す。
海岸から少し離れた所で後ろを振り返ると、次々と屍人が海から還ってくるのが見えた。
恐らく海に入った村人達は、皆そうやって還ってくるのだろう。
人為らざるモノとなって───
25:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:44:48.49ID:h2xKt+bY0
【一日目/異界/12時55分18秒/海蛇海岸】
ブーンは海岸へ向かって必死に走っていた。
走りどおしで疲れが溜まり、ペースはかなり落ちてはいたが、それでもしゃにむに走った。
建物の陰に隠れて海はまだ見えないが、その角を曲がればもう海岸だ。
⊂(;^ω^)⊃。oO(ばぁちゃん、待ってて・・・アッー!)
ドンッ!
スピードを緩めずに角を曲がろうとしたブーンは、出会い頭に何かにぶつかり尻餅をついてしまう。
(;^ω^)「アタタ・・・い、痛いお・・・あっ、ドクオ君!」
ぶつかったのはツンを連れたドクオであった。
ドクオもビックリした様子だったが、相手がブーンとわかりホッとした表情を見せる。
('∀`)「ブーン!無事だったか・・・おまえの婆さんは?」
(;^ω^)「あっ、そうだお。家にばぁちゃんいなかったから早く海岸に・・・」
ドクオは静かに頭を振ると、海岸で起こった事態を手短にブーンに伝える。
(;´ω`)「そ、そんな・・・・・・ばぁちゃん・・・」
('A`)「望みは捨てるな。おまえの婆さんがどこかに隠れてる、って事もある」
言いながらもドクオは、その可能性が限りなくゼロに近いだろうと感じていた。
そして自分の父親も……
28:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:50:53.20ID:h2xKt+bY0
ドクオの慰めに、ブーンはなんとか笑顔を作る。
(;^ω^)「き、きっとそうだお。みんなの父ちゃんも母ちゃんも、絶対に無事だお!」
ブーンのその言葉に、放心状態のツンの肩がピクリと動く。
それを見たドクオは慌てて話題を変える。
('A`)「とりあえず確実に無事なのは、オレら五人だけのようだ。まずはショボン達と合流しねぇと」
(;^ω^)「そ、そうだお。ショボンとしぃちゃんの事も心配だお」
('A`)「ツン、おまえショボン達と一緒にいただろ?あいつら、どこへ行ったんだ?」
ツンの肩を揺さぶり、二人の行方を聞き出そうとするドクオ。
ξÅ-゚)ξ「・・・わ、わかんない・・・お父さんとお母さんを見つけたあと、はぐれて・・・おかあ・・・うっ・・・」
('A`)「そうか・・・」
こうなったら足を使って捜すしかない。
だが、この状態のツンを連れて回る訳にもいかないだろう。
('A`)「ブーン、ツンを連れて学校に向かってくれ。オレはショボンとしぃの家に行ってみる」
(;^ω^)「わ、わかったお。でもドクオ君、一人で大丈夫かお?」
('∀`)「へっ!この島でオレより強いのは、クマ殺しのツン様だけだろ?」
ニヤリと笑い、胸の前で拳を手のひらに叩きつけるドクオ。
パーンと良い音が響く。
その自信が、決して過信ではない事をブーンは知っている。こういう時のドクオは本当に頼もしい。
自分達のクラスで落ち合う事を約束して、それぞれの目的地へと走り出す。
32:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)00:56:16.53ID:h2xKt+bY0
【一日目/異界/12時57分25秒/羽生蛇商店街】
ブーンがドクオ達と再会していた頃、ショボンは暗がりの商店街の中を一人さまよっていた。
(´・ω・)「おーい、誰かいませんかー!おぉーい!」
ツンと別れた後、二人でまずしぃの家に向かったのだが、すでにしぃの父親はいなかった。
次にショボンの家に行き、やはり誰もいない事を確認する。
この村は今、本当にもぬけの殻であった。
ショボンは気を抜けば暴走してしまいそうな思考を抑えつけ、努めて冷静に考える。
あのサイレンは一体なんだったのだろう?集団催眠を引き起こす音?
もしあのサイレンが原因で村人達が変わってしまったとしたら、なぜ自分達は無事なんだろう?
サイレンの音の近くにいなかったから?そうだとしたら他にも無事な人がいるのでは?
その中に自分と皆の家族がいる事を願って、ショボンは一人で商店街を捜していたのだ。
しぃは自分の家に置いてきた。
戸締りをしっかりさせ、いざとなったら物置の中に隠れるよう言ってある。
少なくとも自分についてくるよりは、そのほうが安全だろう。
血の色に染まったこの狂気の世界──異界を、たった二人でさまようよりかは。
38:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)01:03:33.66ID:h2xKt+bY0
しかし、明りが乏しく人気のない商店街が、こんなに不気味だとは思いもしなかった。
ともすれば萎えそうになる気力を振り絞り、喉の奥から声をひねり出す。
(´・ω・)「おーい、誰かぁ!おー・・・」
ショボンの視線の先に、この村唯一のコンビニ──ひろぽんマートが目に止まる。
最悪の場合、かなりの長丁場になるかもしれない。
そうなったら水と食料は絶対に必要になる。
家に立ち寄ったときに確認したのだが、ガス・水道・電気は全てストップしていた。電話も通じない。
確保出来る内にしておいたほうがいい。
そう考えたショボンは、ひろぽんマートに寄ることにした。
(´・ω・)「失礼しまーす・・・」
未だ自動ドアではない扉は、すんなりと開く。
店内は明りがない為に暗かったが、通りに面した場所ならば見えない事もない。
だが、奥の方は真っ暗で、何かが息をひそめて隠れているのでは、という恐怖に駆られてしまう。
恐怖心を抑え、まずは入ってすぐにあったリュックを二つ、手に取る。
財布を持ってきていない為、万引きという形になってしまうが、今はそんな事を気にはしていられない。
(´・ω・)。oO(後で払えばいいよね・・・)
そう自分を納得させ、まずペットボトルをリュックの一つに放り込み、
次に適当にオニギリや弁当など、腹持ちのよさそうな物をもう一つのほうに詰め込む。
すぐに二つのリュックは一杯になった。
41:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)01:08:13.14ID:h2xKt+bY0
(´・ω・)。oO(外も暗いし、懐中電灯もあったほうがいいかな)
そう考え家電製品コーナーに向かおうとしたところで、微かな人の声を鼓膜が捕える。
? 「………んじしろー……ボーン…しーぃ………おーい……」
(;´・ω・)「この声、ドクオ君!?」
懐中電灯の事はすっかり忘れて、ショボンは店を飛び出す。
ショボンが店を出ると同時に、ドクオが通りの曲がり角から姿を現す。
('A`)「!ショボン、無事かっ、しぃは!?」
(´・ω・)「ボクもしぃちゃんもなんともないよ・・・ドクオ君も無事で良かった」
('∀`)「そうか、こっちはブーンもツンも無事だ・・・とこでしぃは?」
(´・ω・)「ボクの家にいるよ。ブーン達は?」
('A`)「先に学校に行かせた。早いとこ、しぃを迎えに行くぞ。この村はやべぇ」
(;´・ω・)「え?村のみんなが夢遊病状態になった以外に何かあったの?」
('A`)「道すがら話す。行くぞ!」
ドクオはそう言うと、ショボンの返事も待たずに走り出す。
(;´・ω・)「あ、待ってよドクオ君。このリュック一つ持って・・・」
46:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)01:14:31.09ID:h2xKt+bY0
【一日目/異界/13時18分09秒/ショボン邸に向かう路上】
パンパンに膨れたリュックを一つずつ背負い、二人はショボンの家に急ぐ。
その間に、ドクオは海岸で起こった事をかいつまんでショボンに話した。
(;´・ω・)「そんな事が・・・信じられない・・・」
('A`)「・・・あの場面に立ち会わなきゃ、オレも信じなかっただろうよ」
もちろんドクオが嘘をついているはずもなく、それは事実に間違いないのだろうが、
それでもショボンの感情は、いま聞いた話しを否定しようとする。
ついさっきまで皆でピクニックに行き、普通におしゃべりをしていたのだ。
そのときと今の異常な状況には、余りにも大きな隔たりがある。
海に入っていった村人達が、人間以外のモノになって還ってくる……
そんな事は、フィクションの世界でしか起こり得ないはずだ。
そう簡単に納得出来るはずもない。
夢であって欲しい、とショボンは心の中で強く願う。
だが一方で、ショボンの理性はこれが夢であるはずがないと告げていた。
(;´・ω・)「ドクオ君、急ごう!」
('A`)「ん、あぁ・・・」
ドクオの話しを聞き、急にしぃの事が心配になってくる。
重いリュックを背負った二人は、走るのと変わらない位の早足でショボン邸を目指す。
51:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)01:19:44.80ID:h2xKt+bY0
家にたどり着いたショボンは玄関の鍵を回し、扉を開ける。
(´・ω・)「しぃちゃーん、帰ったよー。ドクオ君も一緒だよー」
だが、返事はない。家の中はシーンと静まり返っている。
なにか嫌な予感がする……
ふと玄関に置いてある靴を見ると──しぃの靴が無い。
(;´・ω・)「あ、あれ?」
('A`)「あ、どした?」
ドクオが玄関に入ってきて扉が閉まる。と、同時に鍵もガチャリと閉まる。オートロックなのだ。
さすが金持ちの家は違うな、と妙なところで感心するドクオ。
ショボンは大声でしぃを呼びながら、靴も脱がずにそのまま上がり込む。
(;`・ω・)「ドクオ君も早く上がって!靴なんていいから!」
('A`;)「あ、うん・・・」
靴を脱ごうとしていたドクオは、見た事もないようなショボンの剣幕に押されて家に上がる。
(;`・ω・)「ドクオ君は一階を捜して!ボクは二階を捜すから!・・・しぃちゃん、しぃちゃんっ!」
言い終えるが早いか、ショボンは階段を駆け上って行く。
('A`;)。oO(今、あいつの残像が見えたな・・・)
ドクオは場違いな事を考えながらも、言われた通り人が隠れられそうな場所を捜し始める。
56:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)01:24:44.31ID:h2xKt+bY0
ショボンの嫌な予感は的中していた。
しぃは家の中のどこにもいなかったのだ。
両親の鍵は二つとも無かった。
もし、そのどちらかを持っていったのがしぃならば、戻ってくるつもりがあるという事になるのだが……
(;´-ω-)「あれだけ外には出ないよう言っておいたのに、なんで・・・」
('A`;)「待ちきれずに父親を捜しに行ったのかもな。それか、オレ達以外のまともな奴についていったか」
二人とも考えている最悪のケースを、あえて口にはしなかった。
それは、時間差でしぃも村人達と同じ状態になってしまったのではないか、という事だった。
もしそうなら自分達もそうなってしまう可能性が高い。
自分が人間以外の何かに変わってしまう……
ショボンもドクオも、そんな恐ろしい事を口に出す勇気はなかった。
(;`-ω-)「ボクのせいだ・・・ボクがしぃちゃんを一人にしたから」
('A`)「そう自分を責めるなって。オレがお前の立場だったら、きっと同じ事をしたぜ」
(´・ω・)「ドクオ君・・・」
('A`)「あれこれ考えてる暇があったら、まずはしぃを捜しに行こうぜ?」
(´・ω・)「う、うん、そうだね!」
二人が椅子から立ちあがろうとしたそのときだった。
ガシャーーーンッ!!
59:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)01:28:19.90ID:h2xKt+bY0
【一日目/異界/13時35分34秒/ショボン邸】
ガラスの割れる音が、隣りの応接間から響いてくる。
(;`・ω・)「し、しぃちゃん!?」
('A`;)「おい待て、ショボン!」
部屋を飛び出したショボンを追って、ドクオも廊下に出る。
すると応接間の入口でショボンが固まっていた。
('A`;)「ショボン、どうし・・・うっ!」
ショボンの背後から部屋を覗き込んだドクオの動きが止まる。
ガラスを割って応接間に侵入していたのは、二体の屍人だった。
しかもその顔には見覚えがある。
全身から赤い水を滴らせ、虚ろで真っ赤な目をこちらに向けるその屍人達は……
──変わり果てた姿のショボンの両親だった。
(ヽ´゚Ω゚)父「・・・ア゙ゥ゙〜・・・ショボ・・・ア゙ァ゙〜、ゴッヂィ〜・・・」
(ヽ´゚,ω゚)母「ア゙ァアア゙〜・・・お゙まえ゙もぉぉ゙〜・・・」
ショボンの親であった屍人達は、不気味な唸り声を上げながらこちらに近づいてくる。
その動きは鈍いが、目的がショボンとドクオである事は間違いないだろう。
(;´・ω・)「お、お父さん・・・お母さん・・・?」
62:【本文】◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)01:31:01.20ID:h2xKt+bY0
無表情な屍人達からは、説明しがたい殺気のようなものが溢れ出ていた。
それを感じ取ったドクオの背中に悪寒が走る。
('A`;)「逃げんぞ、ショボン!」
ショボンの手を取り、引っ張るドクオ。
だが、ショボンは凍りついたようにその場を動こうとしない。
そうしている間にも、二体の屍人はどんどん近づいてくる。
その伸ばされた手は、今にもショボンに届きそうだ。
(;´・ω・)「ちょっと・・・ま、待ってよ、おとう・・・」
('A`;)「チッ、ショボンどけぇ!!」
ドクオは吼えるとショボンを脇に押しどけ、掴みかかろうとしていた父屍人に体当たりを食らわす。
父屍人は大きくバランスを崩し、後ろの母屍人を巻き込んで派手に転倒する。
さすがにドクオの良心は痛んだが、今はそんな事をいっている場合ではない。
素早く立ちあがり、未だ呆けてるショボンの頬に平手をお見舞いすると、玄関に向かって走り出す。
この状況で玄関に置きっぱなしだったリュックを忘れなかったのは、上出来だったと言えるだろう。
('A`;)。oO(しぃは心配だが、この状態のショボンを連れては捜せねぇな。とりあえず学校に向かうか。
しかし、ツンの次はショボンかよ。なんかオレ、今日こんなんばっか・・・)
二つのリュックを両肩に背負い、ショボンの手を引いて走るドクオはそう思わずにいられなかった。
5:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:05:23.84ID:OdmJKtzL0
《二章 操るもの、操られるもの》
【一日目/異界/13時37分26秒/羽生蛇学校・三階廊下】
ドクオとショボンが学校に向かっている頃、すでに学校に到着していたブーンは、
ツンを教室に残して校内を歩き回っていた。
羽生蛇学校は島で唯一の学校であり、小・中・高と同じ校舎で勉強している。
生徒数が極めて少ないので、クラスはそれぞれの三クラスしかない。
そんな訳で、たいして広くもない校舎を調べ終えたブーンは溜息をつく。
(^ω^)「ふぅ、やっぱり誰もいないお」
今日は休日なので校内に人がいないのは当たり前にしても、
それでも自分達以外にまともな人間がいてくれれば……と、淡い期待を抱いたのだが。
とりあえず、ここが安全だと確認出来ただけでも良しとしよう。
ブーンはそう思いなおし、ツンのいる自分達の教室に戻ってきた。
(^ω^)「校内には誰もいなかったお」
ξ゚-゚)ξ「・・・・・・そう」
ツンは心神喪失状態からは回復していたものの、ただ呆然と椅子に座っていた。
(^ω^)「みんな来るの遅いお。大丈夫かお」
ξ゚-゚)ξ「・・・そうね」
(;^ω^)「・・・」
ξ゚-゚)ξ「・・・・・・」
(;^ω^)「・・・ちょっとうんこしてくるお」
雰囲気にいたたまれなくなったブーンは武器替わりのモップを持って、そそくさとトイレに向かう。
6:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:07:03.39ID:OdmJKtzL0
【一日目/異界/13時49分20秒/羽生蛇学校・三階廊下】
(*^ω^)「ふぅ、たっぷりでたお」
トイレで用を済ませたブーンは、トボトボと廊下を歩いていた。
(;^ω^)「・・・でも、これから一体どうなっちゃうんだお」
床に落としていた視線をふと上げると、その先にぼんやりと人影が見えた。
暗くてよくはわからないが、ツンだろうか?
声を掛けようと上げた手は、しかし途中で止まる。
その人影の動きが、明らかに異常だったからだ。
ソレは左右に大きく揺れながら、ゆっくりとした動きでこちらに近づいてくる。
(;゚ω゚)。oO(ヤヤヤ、ヤツらだお・・・!)
ブーンは回れ右をすると近くの教室に飛び込み、横滑りの扉を静かに閉める。
ここは普段は使われていない教室で、今ツンがいる教室の隣りだった。
(;゚ω゚)。oO(みみみ、見つかったかお・・・?)
ブーンは扉の前でガクブルと震えている。
自分一人でどうにか出来る相手ではない。理由も無く、ブーンはそう思った。
なんとかこのままやり過ごすしかない───
8:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:10:06.15ID:OdmJKtzL0
【一日目/異界/13時50分35秒/羽生蛇学校・高校生教室】
学校に着いてからというもの、ツンはずっと考え事をしていた。
だが、この短時間に余りにも異常な事が起こり過ぎて、考えが全然まとまらない。
はっきりしているのは、あのおかしなサイレンが鳴ってから全てが変わってしまったという事だけだ。
あのサイレンと同時に、この異界へと引きずり込まれた。
そして、あの赤い水を湛えた海と、そこから還ってきた異形のモノ───
それ以上の事はわからないし、考えて答えが出る訳でもない。
ξ;゚-゚)ξ。oO(お父さん、お母さん・・・なんで、こんな事になっちゃったんだろ・・・・・・しぃちゃん・・・)
考え事は、いつしか心配事に切り替わる。
両親の事はもちろんだが、村外れで別れてしまったショボンとしぃの事も心配だった。
特にしぃの事が気懸かりだった。
しぃは体が弱い上に怖がりだ。
彼女が一人で怯えている姿を想像すると、胸が締めつけられて辛かった。
今もショボンと一緒にいてくれれば良いのだが……
ξ#゚゚)ξ「ああ、もうっ!あの筋肉バカは一体なにしてんのよ!」
イライラの矛先を理不尽にもドクオに向け、ウェーブのかかったツインテールの髪をクシャッと握る。
11:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:11:51.32ID:OdmJKtzL0
【一日目/異界/13時52分03秒/羽生蛇学校へ続く路上】
。∵・('A`;)「へーちょ!」
(´・ω・)「大丈夫?」
('A`)「ん、あぁ・・・誰かオレの悪口言ってんな。この感じは、たぶんツンだな」
(´・ω・)「・・・相変わらず変なクシャミだね」
('A`#)「黙らっしゃい」
13:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:13:22.84ID:OdmJKtzL0
【一日目/異界/13時52分13秒/羽生蛇学校・高校生教室】
ツンが机の上で頭を抱え込んでいると───
……ズッ…ズルッ…
廊下から何かを引きずるような音が微かに聞こえてきた。
その奇妙な音はゆっくりと、だが確実に近づいてくる。
ξ;゚-゚)ξ「ブ、ブーン・・・ブーンでしょ・・・?」
ツンは顔を上げ、独り言のような小さい声で問い掛ける。
だが、廊下の音の主にその声は届かなかったのか、返事はない。
ツンはなるべく音をたてないように椅子から立ち上がり、教壇の方に移動した。
そして、しゃがんで教壇の影に隠れながら、教室の後ろ側の扉を凝視する。
? 「・・・ア゙ゥ゙〜・・・・・・ダレが・・・い゙るぅ〜?」
その扉の向こう側から、唸り声のようなくぐもった声が聞こえてくる。明らかにブーンの声ではない。
ξ;゚゚)ξ。oO(ひっ・・・ヤツら、ここまで・・・)
ツンは息を飲み、急いで教壇の中に隠れる。
人が隠れられるスペースは充分にあるので、黒板側に回られなければ見付かる事はないだろう。
問題は、先程の問い掛けを聞かれていたかどうかだ。
ガラッ…
横滑りの扉が音を立てて開いた───
15:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:15:35.25ID:OdmJKtzL0
続いて、教室に何かが入ってくる気配を感じる。
ズルリ…ズルッ……
これは足を引きずりながら歩いている音だろうか?
ツンは耳を両手で強く押さえて震えながら、そんなどうでもいいような事を考える。
固く目を閉じて、島の守り神と幼馴染に祈った。
ξ;)ξ。oO(・・・朧様、虚朧子様、お助け下さい・・・・・・ド、ドクオ助けてっ、ドクオ!)
ツンの必死の願いも虚しく、足を引きずる音は次第に近づいてくる。
もう教壇と何メートルも離れてないだろう。
? 「・・・ヅンぢゃぁ〜ん゙・・・ツン゙ちゃん゙の匂い゙がずるよぉ〜」
ξ;゚゚)ξ「ひぃっ・・・!」
耳を塞いでいるにもかかわらず聞こえた不気味な声に、思わず悲鳴が漏れてしまう。
ξ;゚-゚)ξ。oO(聞かれた!?に、逃げなきゃ・・・!)
だが、意思に反して体が動かない。おかしいほど震えているのに、指一本すらまともに動かせないのだ。
ツンが命令を聞かない自分の体と格闘している間に、屍人は教壇の前に回り込んでしまう。
(ヽ゚∀゚)「みみ゙み、み゙ぃ〜づけだぁ〜」
教壇を覗き込むその顔は、屍人と化したジョルジュ校長のものであった。
震えながら丸くなっているツンを見て、ニタリと邪悪な笑みを浮かべる。
(ヽ゚∀゚)「え゙、えへ・・・え゙べべへぇ゙ぇぇ゙えぇ゙え゙え・・・!」
16:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:16:55.30ID:OdmJKtzL0
【一日目/異界/13時55分34秒/羽生蛇学校・未使用教室】
キャアアアァアアァァァァアア!!!
突如響き渡る悲鳴に、扉の前でビクリとするブーン。
(;^ω^)。oO(ツ、ツンちゃん!?ツンちゃんに何かあったかお!)
思わず目の前の扉を開けるブーン。
ガラッ!
だが、開けた扉の前には屍人化したギコ先生の姿があった。
(;゚ω゚)「アッーーー!!」
(ヽ,,゚Д゚)「ア゙ーーーッ゙!!」
相手も驚いたのか、同時に悲鳴を上げる。
19:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:18:15.90ID:OdmJKtzL0
お互いにしばらく固まった後、最初に動いたのはブーンだった。
ピシャッ!
目の前の扉をおもいきり閉めるブーン。
ガラッ!
ギコ屍人がその扉を再び開ける。
ピシャッ!ガラッ!ピシャッ!ガラッ!ピシャッ!ガラッ!………
無意味な行為を繰り返すブーンとギコ屍人。
最後に扉を閉めたブーンは、これ以上開けさせないように手に力を込める。
(ヽ,,゚Д゚)「おどなぁじく、出でぇぎなざぁ〜い゙・・・」
ギコ屍人がガタガタと扉を揺らす。
(;^ω^)「そ、そう言われて出ていく犯人はいないお!.」
満身の力を込めて扉を抑え付けるブーン。
だがその努力も空しく、扉は力任せにこじ開けられてしまう。
24:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:22:24.02ID:OdmJKtzL0
(;^ω^)「うわっ!」
扉に体重を掛けていたブーンは、いきなり扉を開けられてバランスを崩し倒れてしまう。
足元に倒れたブーンを仰向けにし、その上にのしかかるギコ屍人。
動きは緩慢だがその力は尋常ではなく、ブーンは身動きすらできない。
(;^ω^)「み、見逃してくれお!なんなら、またお尻を貸してもいいお!ぷりぷりだお!」
(ヽ,,゚Д゚)「うほっ。ブーンも゙こっぢに来なざぁ〜い・・・ひどづにな゙ぁるぅ゙〜」
ブーンの両手を掴み、顔を近づけるギコ屍人。その赤い目は見開かれている。
そしてブーンの顔の上で、口をガパッと大きく開ける。
(;^ω^)「な、何をす・・・」
そう言いかけた瞬間、ギコ屍人の口の中から赤い水が溢れてブーンの顔に降り注ぐ。
(;゚ω゚)「アッー!いやぁぁぁああーーー!!」
思わず顔を横に背けるが、赤い水は生物の様にブーンの口や鼻に入ってこようとする。
口を閉じ息を止めて抵抗するが、赤い水は執拗にその動きを止めない。
(;゚ω゚)「ンムー、ンンンーッ!」
必死の抵抗も虚しく、鼻や口の端から赤い水が徐々に侵入してくる。
酸欠で薄れゆく意識の中で、ブーンは最後に思った。
(;´ω`)。oO(も、もうダメだお・・・僕は主人公じゃなかったのかお・・・?)
27:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:23:48.46ID:OdmJKtzL0
【一日目/異界/13時55分34秒/羽生蛇学校・玄関前】
キャアアアァアアァァァアアア……
アッーーー…ア゙ーーーッ゙…
ドクオとショボンが校門をくぐり、玄関前に来たときにその悲鳴は聞こえてきた。
二人同時に悲鳴がした方を見上げる。
('A`;)「ツンッ!?」
(;´・ω・)「ブ、ブーン?」
悲鳴の出所は、恐らく三階の自分達の教室だろう。
慌てて走り出そうとしたドクオを、ショボンが制する。
(`・ω・)「ドクオ君、リュック降ろして!」
('A`;)「あっ、そ、そうか」
(`・ω・)「あと、何か武器になる物を探して。二人以外の声が聞こえたから、多分ヤツらがいるよ!」
ヤツら、とはもちろん屍人の事だ。
急いでリュックを降ろし、同時に駆け出す。
ショボンは学校に来るわずかな時間で、すでに平常心を取り戻していた。
こういう所はさすがだな、とドクオは感心する。
見た目はいささか頼りない感じもするが、常に冷静沈着なショボンの事を、ドクオは密かに尊敬していた。
ショボンが味方でいてくれて、本当に良かったと思う。
三階に向かう途中、掃除用具入れにあったモップ二本と、廊下に置いてあった消火器一つを入手する。
こんな物が屍人にどれだけ通用するかは疑問だが、のんびり武器を探している暇はない。
一気に階段を駆け上がり三階の廊下に立つと、人が争っている物音と声が聞こえた。
ショボンに消火器を渡すと、モップを構えドクオは走り出す。
31:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:27:21.42ID:OdmJKtzL0
【一日目/異界/13時56分38秒/羽生蛇学校・三階廊下】
('A`;)「ツンッ、どこだ、返事しろ!ブーン!」
叫びながら廊下を疾走するドクオ。
教室の前まで来て薄暗い中を覗くと、今まさにツンが何者かと争っている最中だった。
ξ;)ξ「やっ!放してよ、いやだったら!」
恐ろしい力で両腕を掴まれ、身をよじるツン。
('A`#)「オラァッ!その手を放しやがれぇぇぇぇえっ!!」
モップを振り上げ、雄叫びを上げながら教室に突入するドクオ。
突然の乱入者に驚いたのかジョルジュ屍人の動きが止まり、ツンの腕を掴んでいた手が緩む。
その好機をツンは見逃さなかった。
体をひねってジョルジュの戒めから逃れると、その反動をバネに掌底を顔面に叩き込む。
(ヽ`Д´)「ヴバァァ゙ァア゙アァ゙・・・ッ!」
顔を押さえて前屈みになったジョルジュの側頭部に、ツンの右上段回し蹴りが炸裂する!
スパァァァンッ!!
32:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:28:47.82ID:OdmJKtzL0
ドサッ……
ツンの渾身の蹴りをまともに食らったジョルジュの体が一瞬固まり、
次にスローモーションのように、ゆっくりと床に崩れ落ちた。
ξ゚o゚)ξ「コオォォォオオ・・・ッ!」
('A`;)「ナ、ナイスハイ・・・」
モップを振り上げた間の抜けたポーズのままのドクオを、ツンはキッとにらむ。
ξ#゚゚)ξ「ドクオ!あんた来るの遅すぎ、このノロオ!」
('A`;)「はい、申し訳ございません・・・」
ξ*゚゚)ξ「たっ、助けに来てくれた事は感謝するわよっ!そのおかげで隙も出来たんだし・・・」
('A`)「まぁ、無事で良かったよ。悲鳴を聞いたときは心臓が止まったぜ」
ξ*゚-゚)ξ。oO(し、心配してくれてたんだ・・・)
('A`)「・・・なぁ、ツン」
ξ(゚、゚*ξ「な、なぁに・・・?」
('A`)「さっき蹴りいれたときパンツ見えたぞ。ピンク」
バキッ!
ξ#゚-゚)ξ「殴るわよ?」
('A(::)「もう殴ってね?」
ξ#゚-゚)ξ「殴ってないわよ。私に殴らせたらたいしたもんよ」
('A(::)「・・・・・・あ」
ξ#゚゚)ξ「今度は何ッ!?」
('A(::)「・・・ブーンは?」
33:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:30:07.24ID:OdmJKtzL0
【一日目/異界/13時57分16秒/羽生蛇学校・三階廊下】
渡された消火器のピンを引き抜き、走り出すショボン。
ちょうどドクオが雄叫びを上げながら教室に入っていくところだった。
そちらはドクオに任せ、ショボンはもう一人を捜そうと辺りを見回す。
それはすぐに見付かった。
隣りの教室の扉付近で、重なり合う二つの影が見える。
(;´・ω・)「ブーン!?」
ここからでは扉の死角になっていてよく見えないが、ブーンが誰かに乗りかかられているようだ。
消火器を廊下脇に置くと、モップを握り締めてそのうごめく影に近づく。
暴力は振るいたくないが、この状況では仕方がない。
話しが通じる相手ではないだろう。そう、自分の両親のように……
(;`-ω-)「ブ、ブーンから離れろ!」
目を固く閉じ、その背中にモップを振り下ろす。
ガッ!
確かな手応えを感じた。
だが、恐る恐る目を開いても、状況はなんら変わってはいなかった。
34:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:31:06.33ID:OdmJKtzL0
もう一度モップを振り上げたところで、ブーンに跨っていた屍人がゆっくりとこちらを向く。
(;´・ω・)「ギ、ギコ先生・・・?」
ショボンは振り上げたモップを廊下に落とし、あとずさる。
いくら相手が屍人とはいえ顔を見てしまった以上、もう殴る事は出来なかった。
ギコ屍人はノロノロと体を起こし立ちあがると、ショボンに手を伸ばして近寄ってくる。
(ヽ,,゚Д゚)「よぐもぉ゙〜・・・殴っ゙たね゙〜・・・」
(;´・ω・)「ご、ごめんなさい、先生・・・謝りますから、ちょっと落ちついて・・・」
無駄だとは知りつつも、ジリジリとあとずさりながら声を掛ける。
それに答える事なく、ギコ屍人は少しづつ距離を詰める。
コツン
ショボンのかかとに、何か固い物が当たった。
先程、隅に置いておいた消火器だ。
ピンはすでに抜いてある。
ショボンは急いで消火器を手に取ると、ギコ屍人にノズルを向けて思いきりレバーを握った。
ブシューーーーーッ!
35:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:32:26.29ID:OdmJKtzL0
ギコ屍人を中心に、辺り一面が一瞬で白い闇に包まれる。
それと同時に、ショボンは自分の背後から脇にかけて、何かが凄い勢いで通り過ぎるのを感じた。
ドゴッ!
次いで、肉と骨とが激しくぶつかり合う音が響く。
一拍置いて、何かが床に倒れる音。
そして静寂。
白闇の中で何が起こったのか、ショボンには理解出来なかった。
ショボンは手で鼻と口を押さえ、手探りで廊下の窓を開ける。
風が吹きこみ、人工の霧をさらってゆく。
少しずつ見えてきた光景は、白い粉にまみれてピクリともせず廊下に倒れているギコ屍人と、
その隣りでボディビルダーのよくやるポーズを決めているドクオだった。
('∀`)「ようやくオレにも見せ場があったぜぇ!」
(´・ω・)゚o゚)ξ「ナイスポォーズでぇーす」
36:本文◆SiRen.KDYA:2006/05/09(火)23:34:50.03ID:OdmJKtzL0
【一日目/異界/14時14分14秒/羽生蛇学校・廃校舎教室】
消火器の粉を吸い込んでしまったのだろうか、やけにむせているブーンを、
ショボンとツンの二人で支えながら歩かせる。
少なくとも二体の屍人がいた校内は、もはや安全な場所とはいえなかった。
話し合った結果、一同は学校の敷地内にあ


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